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KYOTO September 2002 III. ひとびと カメラを持った観光客は、京都ではほとんど住人からは無視されると思う。 この街では、あなたはひたすら人やモノを見る存在なのである。 しかし観光客には観光客の領分というものがあって、それを一歩踏み越えれば、たちまち住人の視線を浴びることになるだろう。 塀や看板などにカメラを向けているところを、近所のおばはんに声をかけられたことがあった。 「なに撮ってはるんですか？」 といっても、詰問調ではない。 なんの値打ちもなさそうなものを、なんでまた……という純粋な疑問を、彼女は発したのである。 人を見たり、人に見られたりしながら、街を歩く。 |
